【J1第16節分析】最後まで諦めない…の柏戦 |
【結果】 柏0-1鹿島(柏/10,273人) [得点者] 89 マルキーニョス(鹿島)
【前半】 □鹿島は4-4-2 前節とのメンバー変更は石神→イバのみ、中盤はダイヤモンド型です。 □柏は4-2-3-1 フランサの1トップに、トップ下は出場停止の李に替わって鈴木が入りました。 左に菅沼、右に谷澤という布陣でした。 ○序盤はプレスのかけ合い 予想通り開始から両チームとも積極的に前からプレスに行っていましたね。 プレス、マーク、集中力と最初から際立っていて、早くも厳しい戦いになることを予想させる立ち上がりでした。 ○鹿島はオフサイドが多い 鹿島はマルキーニョスと田代がよくオフサイドになっていました。 しかし、これは積極的に裏を狙っている証拠。 前からプレスをするには前線とDFラインの間をコンパクトにしなければ効果が薄くなります。 DFの裏のスペースを脅かせば、ラインを上げづらくなりますからね。 監督の指示だったのでしょうか、いい狙いだったと思います。 ○ロングボールからの展開 こちらも柏の厳しいプレス対策ですね。 中盤を通り越して前線へのロングボールも多様していました。 特筆すべきは田代とマルキのコンビネーションです。 田代のヘッドでの落としは相変わらず正確ですし、お互いよく意識していい距離感を保っていたのでチャンスに繋がっていましたね。 ○柏の守備と鹿島の守備の違い お互い守備がいいながら、鹿島の方がセットプレイからチャンスを掴んでいました。 柏の守備も確かによかったですが、マンマーク気味に激しくマークに行った時にゴール前の何でもないところで簡単にファウルする場面が多かったです。 ここに鹿島と柏の守備の仕方の違いが少し出ていましたね。 △柏のフランサを中心とした攻撃 柏は下がってきたフランサのポストプレイからサイドに展開、中央へセンタリングを入れるという攻撃スタイルですね。 徐々にフランサにボールが集まっていい攻撃もしてましたが、どうしても中央が薄くなるので岩政、大岩は比較的楽にクリアできていました。 フランサがループシュートを狙ったシーンも、柏ゴール前で自らキープしてアルセウに繋いでの左サイドからの展開でした。 つまり、フランサは80mくらい全力疾走した後のプレイだったわけです。 フランサが展開し、フィニッシャーもフランサ頼り。 石崎監督が要求している様に、サイドの菅沼、谷澤がボールを持っているときにアルセウの上がりがないとなかなか得点には繋がらないでしょうね。 さらに逆サイドの選手も中央に絞れば中に厚みが出ると思います。 この試合ではアルセウはサイドに上がってセンタリングを狙う動きが多かったですね。 △一進一退 この辺りは中盤のプレスからボールを奪ってチャンスを窺うと言う、我慢比べの時間帯でした。 ○コーチング 鹿島はプレイがきれたときによく声を出し、ジェスチャーを交えて意見交換していました。 今季序盤のときにはあまり見られなかったです。 チーム状態がいい証拠ですね。 ○フランサ退場 鹿島にとっても柏にとっても大きかったですね。 鹿島も守備がいいのでフランサがいてもそうそう得点を許していたとは思いませんが、柏が10人になったことで終盤は思い切って攻めのカードを切れました。 もしフランサの退場がなかったらあそこまで攻撃的にはいけなかったでしょうから、勝負のアヤとなったプレイでしたね。 ボールの取られ方が悪くフランサも抗議を一切しなかったことから、覚悟のプレイだったのでしょう。 実は柏はこれまでのリーグ戦で失点したゲームは2分4敗、ナビスコ杯入れても1勝をあげてるだけで、失点した試合は勝率が極めて低いです。 逆に言えば、無失点に抑えないと勝てないということです。 もしかしたらそういうイメージが頭にあって、失点はなんとしても避けたかったのかもしれません。 やはり1枚目のイエローカードがもったいなかったですね。
【後半】 □鹿島は田代をやや中央に 相手が10人でもじっくり攻めに行くということで、田代の1トップ気味のイメージでスタートしたみたいですね。 □柏は4-4-1 鈴木の1トップに中盤は鹿島に合わせてマンマーク気味にダイヤモンドに近い形への変更でした。 △攻める鹿島、守る柏 鹿島がボールをキープして攻め込んでいたのですが、柏もすさまじい集中力で守っていました。 鹿島はこれが通ればいい展開になるという、サイドチェンジやスルーパスが雑でミスが多かったですね。 ⇔興梠投入 増田に代わって興梠が入りました。 野沢を少し下げて3トップ気味にしました。 サイドにボールを展開して数的優位に立って攻撃しようという意図だったのですが、柏の方が数的有利を作って守れていましたよね。 さらに中盤が薄くなったためカウンターを受けることになりました。 ⇔ダニーロ投入、柏はFWの阿部がイン 最初の交替があまり効果的でなかったと悟ると、オリヴェイラ監督は本山に替えてダニーロを投入してきました。 これによってダニーロのサイドのキープから幾つかチャンスを作りましたね。 柏も前線からの守備と、引き分けではなく勝つためにカウンター狙いでFWの鈴木を入れてきました。 ただ、鹿島としてはFWが替わっても柏の攻撃に脅威はなかったので、逆に大宮戦のように攻撃を捨てて守備一辺倒で来られるよりはやりやすかったかもしれません。 ⇔佐々木投入 イバに替わって佐々木が入りました。 いきなりファーストタッチでいいボールのキープからドリブルで仕掛けました。 途中出場はゲームの流れに乗りづらいこともあるのですが、この最初のプレイでいい入り方が出来ましたね。 ☆劇的ロスタイム決勝ゴール 最後まで諦めないという気持ちが、最後の最後でゴールに結びつきました。
【得点シーン】 ☆劇的ロスタイム決勝ゴール 曽ヶ端(ゴールキック)→岩政(ロングフィード)→田代(ヘッド落とし)→佐々木(グラウンダークロス)→マルキ(右足) アジア杯代表メンバー発表時には、岩政の「自分はフィードがうまくないからオシム好みの選手ではない」というコメントもありましたけど、いいフィードをしましたね。 あとは田代のいいところ、佐々木のいいところ、マルキのいいところが繋がった、そんなゴールです。 興梠、ダニーロ、佐々木と投入され、全員ボールをもらったら前を向いてドリブルで仕掛けるプレイをしていました。 おそらく監督の指示だったのでしょうね。 柏はそれに対しては集中して守れていましたが、最後の最後で後方からのポーンとしたロングフィードというリズムが違う攻撃が来て、集中力を失ってしまいましたね。
【感想】 この記事を書くために録画でもう1度見ましたが、何度見てもいいゲームです。 もちろん鹿島が勝利したからということもありますが、例え引き分けで終わってもやっぱりいいゲームだと感じたでしょう。 サッカーの勝負のアヤというか、おもしろさが詰まった試合だったと思います。 そしてもう1つ感じたことは、「ヒカルの碁」の桑原本因坊の、「碁は1人ではできない。2人おらんとできんのじゃ」ということ。 サッカーも両チームの選手がいいプレイをしたからこそ、好ゲームとなるのだということを改めて実感しました。
【選手評】 内田篤人 ほんとに2年目の選手なのでしょうか!? 落ち着いたプレイをしつつも、最後まで諦めずに走る熱い気持ちも持ち合わせています。 U-20代表にも参加しながら、現在鹿島でもフィールドプレイヤーではもっとも出場時間の多い選手です。 まぎれもない鹿島の中心選手ですね。 岩政大樹 連続ゴールの記録は途絶えてしまいましたが、DFの本分である完封勝利に貢献しました。 「マルキーニョスのゴールは、自分がゴールするより、鳥肌が立つくらいうれしかった」というコメントはいいですね。 今季はプレイ同様、一皮向けたようにいいコメントが多いです。 少しサッカーへの考え方が変わって、それがプレイにいい方向で出ているのかもしれませんね。 新井場徹 中途半端なパスを出して野沢が体を張ってボールを死守して倒されたり、マークに行かず青木が慌ててカバーに走ったり…。 ベテランなのに実に周りの若い選手に気を遣わせるキャプテンですね。 お前は、キン肉マンソルジャーか!? 本山雅志 「自分が交代してから流れがよくなった」と、自虐的なコメントをしていますね。 確かにそうですが、だからといって今季のチームへの貢献度が変わるわけではありません。 それに、本山がスーパーサブだった時代は、交替でピッチを退いた先輩たちも同じことを思っていたかもしれませんよ。 試合には流れというものがありますから、こんな時もありますよ。 増田誓志 攻撃では光るものはあるんですけどね…。 おそらく状況に応じてどういったプレイが有効なのか、そういった判断力がないのでしょう。 もっと海外なりJリーグなりサッカーの試合を見るべきですね。 お手本となる選手を見つけて勉強しないと、いつまでたっても殻は破れませんよ。
【今日のみどころ】 鹿島の連動したプレスです。 フランサが退場したシーンが特に素晴らしかったですね。 あのシーンでは柏がDFラインでボールを回していて、鹿島の左サイドにまずパスを出しました。 そこに田代がプレスに行って、パスが出たところに野沢がプレスに行きました。 そのため、柏はボールを奪われることを恐れてDFラインに一旦戻し今度は鹿島の右サイドに展開しようとしました。 CBの小林がボールを持っている時に、マルキがサイドにボールを出させるようにプレスに行きます。 思惑通り小林は左SBの大谷にパスを出します。 そこへ本山がすかさずプレスに行きました。 大谷はボールをもらいに来た谷澤に縦パスを出します。 そこへ篤人がプレスをかけに行ったため、谷澤は下がってボールをもらいに来た中央のフランサへダイレクトで横パスを出します。 そこを青木が狙っていて見事にインターセプトし、そのままドリブルで駆け上がったところ、フランサがファウルを止めることになりました。 FWやオフェンシブハーフのプレスでボールを奪う必要はありませんし、それは実に難しいことです。 しかし、前線の選手がパスコースを限定してあげれば後ろの守りやすさはぜんぜん違って来ますし、パスカットも狙いやすく攻撃にも繋がります。 前線からのプレスがいかに大事か、それが出ていたプレイでしたね。
【監督】 鹿島岩政ラスト10秒で奇跡起こした(ニッカン) オズワルドオリヴェイラ監督コメント(J’sGOAL) 「信じろ、夢をあきらめるな」 「たった10秒の中にいろいろな意味の教訓がある」 「サッカーは最後まであきらめずに戦うべきスポーツである」 今回はすごくいい言葉を、オリヴェイラ監督に頂きました。 スラムダンクの安西先生を思い出したのは、こーめいだけじゃないみたいですねf(^^;) 正直、こーめいは柏の守備があまりにいいので、ロスタイムには引き分けでも仕方ないか…という考えもよぎっていました。 しかし、オリヴェイラ監督はアウェイだろうと勝ち点3にこだわって選手交替のカードを切ってきましたね。 興梠、ダニーロ、佐々木の投入でピッチ上の選手へもその強い勝ちたい気持ちが伝わりました。 交替の方針も一環していて、とにかくボールをもらって前を向いてキープして、ドリブルで仕掛けて、タメを作ってという選手を投入し続けました。 これがオリヴェイラ監督のプロ意識というものなのでしょうね。 最後まで諦めないということは、サッカーだけでなく人生にも繋がる言葉です。 人それぞれ仕事をしていれば、何らかのプロなわけですから、 最後まで諦めないこと、 改めて大事なことを教わった気がします。
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テーマ:鹿島アントラーズ - ジャンル:スポーツ
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