【J1第7節】勝てる訳がない…の横浜FM戦 |
【結果】 4月23日(土) 2011 J1リーグ戦 第7節 鹿島0-3横浜FM(14:00/国立/15,688人) [得点者] 03' 小椋祥平(横浜FM) 76' 栗原勇蔵(横浜FM) 90'+4 オウンゴ-ル(横浜FM) [フォーメーション] FW:興梠、カルロン MF:遠藤、野沢 MF:小笠原、青木 DF:アレックス、伊野波、岩政、イバ GK:曽ケ端
【試合の感想】 開始3分間がこの試合のすべて 鹿島はいつもの4-2-2-2ですが、ケガで欠場の田代、ガブリエルに代わってカルロンが強行出場、遠藤がスターティングメンバーで出場します。 横浜は中盤がフラットの4-4-2で、3ラインでブロックを作って狙いどころを絞って勢いよくプレスをかけてボールを奪うという守備でした。 いきなり3分に失点してしまいます。 ロングボールを岩政がヘッドでクリア、こぼれたボールをアレックスがDFラインとボランチの間という中途半端なところに落とすのですが、青木の反応も鈍く小椋にかっさらわれてショートカウンターから見事にゴールを奪われます。 この試合のすべてはこの失点シーンに出ていましたね。 鹿島の選手は明らかに疲労しており、運動量が少なく、攻守の切り替え、ボールへの寄せ、こぼれ球への反応、球際の競り合いすべてで負けていました。
和司木村のちゃぶらない試合 早々に先制点をあげた横浜FMはちゃぶることを捨て、完全なリアクションサッカーを展開します。 昨季33節のG大阪戦も3分に得点してから完全に守りに入って2-0で勝利した試合がありましたね。 あの時も4-4-2でDFラインを低く保っていましたが、G大阪が攻撃しているときは中盤の4枚も必ずボールより下がる(自陣ペナルティエリア前にボールを持ち込まれた時は8バックになり、G大阪がボールを下げたら中盤の4人がその位置まで飛び出してブロックを作る)という徹底ぶりでした。 横浜FMは昔から中澤を中心に守れるクラブで、加えて栗原や小椋、谷口で中央を固められたら得点を取るのは一苦労です。 それ以前に鹿島は前線の選手がまったく動けておらず、攻撃の形が作れていなかったのですが、20分頃からカルロン、遠藤がボールを引き出して行きます。 しかし、カルロンはシドニーFC戦からコンディションが落ちておりケガの影響もあるのかボールをキープできずに潰されるシーンが多く、遠藤はボールを持てば横浜FMの素早い寄せで2、3人に囲まれてしまいます。 それでも周りのフォローがまったくない中で、持ち前の低重心とドリブルで何とかボールをキープして何とかファウルをもらっていましたね。 この2人以外で動けているのはアレックスくらいで、他の選手はまったく走れていませんでした。 ほとんどの選手が動けていないので、1つ、2つのパスを何とか繋げるのが精一杯。 パスがずれることも多く、ミスが続出していました。 これは昨年までも夏場や連戦の動けない鹿島ではよく観られた光景ですね。
ハーフタイムの失策 後半から遠藤→本山、カルロン→大迫と選手交代をしてフォーメーションを4-2-3-1にします。 この日はオリヴェイラ監督がベンチ入り停止で奥野コーチが指揮を執っていたのですが失策でしたね。 前半の内容を見てもフォーメーションやシステムの問題ではなく、動けているかどうかの問題だったので動けていた遠藤とカルロンを交代せず、動けない選手に代えて動ける選手を入れるべきでした。 カルロンはコンディションが良さそうではなかったので、カルロン→大迫でもありだったと思いますが、本山はACLの試合を見てもあまりコンディションがよくなかったですから、こーめいなら興梠→大迫、青木→本田とカードを切って4-2-2-2のまま、ハーフタイムの指示で前線の動き出しを修正という対処をしていましたね。 実際に奥野コーチもハーフタイムで動き出しについて指示しているわけですから、これで15分間様子を見てダメなら本山を投入という選択をした方がよかったでしょう。 水原三星戦をケガで休んでいた大迫はコンディションがよさそうで、連戦組で唯一動けていたアレックスとの連携から左サイドで起点になる時間帯もありましたが、結局全体の運動量がまったく上がっていないので後半もほとんど何もできずに終わりましたね。 シュートこそ前半より打っていましたが同じようにほとんどミドルレンジからで攻撃の形は作れていませんでした。 その後2失点してしまうのですが、結局最後の最後までこの試合のコンディションの悪さを象徴するような内容でした。 2失点目はコーナーキックからの守備も問題なのですが、その前の岩政のプレイは十分タッチラインに逃げることができていたのに中途半端なところに蹴ってコーナーキックを与えてしまいましたね。 ロスタイムのオウンゴールは野沢がシンプルにクリアしていれば問題なかったところ、キープしようとして疲労から足がもつれてゴールに蹴り込んでしまいます。 どちらも疲労から集中力がない、相手選手より反応が遅い、足にボールがつかないところが失点に結びついた形となりました。
準備段階の差 まったくいいところがなく完敗に終わりましたが、この試合は選手やフォーメーション、戦術などをどうこう言えるものではありません。 あれだけ選手が動けなければどんな選手の組み合わせやフォーメーション、戦術で戦っても勝てる訳がありません。 そして、それは両クラブの準備段階の差によるものだということは明らかだからです。 これは今節のACL組の大苦戦ぶりを見ても分かると思います。 C大阪は山形に勝ちきれず、G大阪と名古屋も大量失点で敗れています。 他の3クラブはアウェイですが、鹿島も純粋なホームではないですからね。 横浜FMはリーグ戦と同じ日程で週末に試合をこなしながら、この再開試合に照準を合わせてコンディションを作って来ていました。 当然、疲労がピークの状態はこの試合の前に持って来ています。 それに対して鹿島は一度解散して再集合してからACLの試合を戦っていました。 ACLの試合を落とすわけにも行かなかったのでコンディションを作るための負荷の高い練習はシドニーFC戦が終わった後から行っています。 ACLの試合を観たサポーターならシドニーFC戦→水原三星戦とコンディションが落ちていたのが分かると思います。 それがあったのでこーめいは前回の記事で選手に疲れが溜まっていると書いたのですが、水原三星戦後は軽めの練習だったものの中3日では回復できなかったですね。 恐らく横浜FM戦は疲労のピーク状態にあったと思います。 つまり、例年で言うと水戸戦、もしくはゼロックススーパー杯戦時あたりのコンディションだということですね。 中断期間があればコンディションを作りなおせるので選手にあまり負荷をかけずにリーグ戦に入って行くやり方もあったと思いますが、中断期間がなくなった以上現段階でコンディションがこの状態なのは仕方ないでしょう。
福岡戦に向けてやるべきこと まずは当然コンディションをアップさせることです。 次の試合まで1週間ありますから、その間に疲労をとることができれば確実に試合内容はよくなります。 そして、福岡戦からはまた連戦になるので動ける選手を起用するということですね。 コンディションが上がって来ないレギュラー選手を起用するなら、コンディションのいい控え選手、新加入選手を使うべきです。 連携の問題が出て来ますが、この試合や昨季までの夏場、連戦の試合のように動けない選手が出るとパスがずれ、ミスが続出するのでどのみち連携云々言っている場合ではありません。 最後はセットプレイの守備の練習を徹底することですね。 今季の鹿島はゼロックススーパー杯の名古屋戦、ACLの水原三星戦の2試合、リーグ戦の大宮、横浜FMと9失点していますが、そのうち5失点はリスタートからです。 大宮の上田のFKはノーチャンスでしたが、他の失点は防ぎようがありました。 特に前半、後半の立ち上がりで集中力を欠いているときが多いですね。 このリスタートからの失点で先制されて、結局試合運びを難しくしている部分が大きいです。 得点が取れないことも問題ですがそちらは徐々に改善も観られていますし、コンディションが上がればゴールも自然と生まれて来ると思います。 そもそも失点の半分以上がリスタートからというのは問題で、これがなくなれば試合運びも楽になりますし、そうすれば1点差で勝ちきる試合もできるようになるでしょう。 今はコンディションがまだよくない状態ですから、内容が悪いなりにも勝って行きたいですね。 そして、コンディションが上がるにつれて試合内容もよくしていくというプランですね。 今のところはそういう流れに持っていっていく必要不可欠な状況だということです。
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【ACL第4節】悔しいですっ…の水原三星戦 |
【結果】 4月19日(火) AFCチャンピオンズリーグ2011 鹿島1-1水原(14:00/国立/4,619人) [得点者] 48' ヨム・ギフン(水原) 54' 田代 有三(鹿島) [フォーメーション] FW:興梠、田代 MF:ガブリエル、野沢 MF:小笠原、青木 DF:アレックス、伊野波、岩政、イバ GK:曽ケ端
【試合の感想】 ロングボール一辺倒 水原三星の守備の前に意味のないロングボールを蹴るばかりの試合になってしまいましたね。 こーめいの想定外だったのはカルロンが前日の練習でケガをしてしまったことと、水原三星が最初から引き分け狙いで来たことでした。 ホームでもあまり勝ちに来ていたという雰囲気ではなかったので試合の流れによっては引き分け狙いに切り替えるだろうとは予想していましたが、まさか最初から5-4-1のフォーメーションにしてまで守って来るとは思いませんでした。 鹿島は前線で起点になれる選手がいなかった上に水原三星がゴール前を固めて来たのでバイタルエリアを上手く使えず攻撃の組み立てをできていませんでしたね。 風が強かったのもありますが精度の低いフィードも多く、ただ相手に渡すだけのボールが多くなっていました。 そんな中でも小笠原はいいフィードを見せており、田代の頭で落として野沢、左サイドに上がったアレックスの折り返しをガブリエルとシュートシーンまで繋げるロングボールを出していました。 チェ・ソングッが負傷交代して水原三星の守備が少し混乱していた時間こそ、相手のバイタルエリアを使って上手く攻撃できた場面もありましたが、結局前半はこの2つのシュートシーンが一番ゴールに近づいたシーンでした。 その後、チェ・ソングッがいなくなったことで水原三星はより守備的に、鹿島の前線の選手の運動量が落ちると前半の終盤はボールを回すだけで効果的な攻撃はできなくなってしまいました。
セットプレイからの得点の意味 後半開始からガブリエルに代わって遠藤が入ります。 ガブリエルが捻挫しているという情報は事前に知っていましたし、オリヴェイラ監督がこんなに早く動くはずがないので、これはすぐにケガによる交代だと分かりましたね。 その代わった遠藤がゴール前で嫌なファウルを取られます。 これは守備に戻った遠藤が相手選手とぶつかったのですが、1対1の場面でアレックスがボールを引っかけて奪っていた時点で鹿島ボールですし完全に遠藤の方が引き倒されており水原三星側のファウルでしたけどね。 風の強さ、風向き、壁と曽ケ端の位置を考えると非常に危ない感じがしたのですが、その予感通り決められてしまいました。 しかし、その後すぐに鹿島もセットプレイからゴールを奪います。 これもあまり効果のないロングボールを跳ね返されたのですが、こぼれ球にいち早く猛ダッシュで青木が反応したのでファウルをもらえましたね。 野沢のボールをファーサイドの遠藤がギリギリのところで折り返すとDFに当たって田代の前にこぼれます。 それを冷静にねじ込んですぐさま同点に落ち着きました。 前回の対戦も含めて両クラブの得点はすべてリスタートからなのですが、このレベルのクラブが守備意識を高く持って戦うとなかなか流れの中からは得点が生まれにくいですね。 それでもセットプレイなどから得点を取るしたたかさ、勝負強さが両クラブにもあるとも言えるのですが。
4-2-3-1の可能性 シドニーFC戦で4-2-3-1をするなら本山の他にのう1つ起点になれる選手を入れるべきと書きましたが、この試合ではガブリエル、田代の負傷交代でその形となります。 興梠の1トップの後ろに遠藤、本山、野沢と並んだのですがこのフォーメーションになってからはいい攻撃が出ていました。 本山と遠藤が相手DFの間で上手く受けてパスを回しており、それに野沢が上手くからんでシュートまで行くシーンが生まれましたし、いいカウンター攻撃も観られました。 この時間帯に得点が欲しかったですね。 ただ、水原三星もゴール前を固めて最後までよく体を投げ出して守っていましたし、本山がやはりまだ本調子ではないです。 興梠も何とか裏を狙おうとしていましたが、スペースがない上に最優先に警戒されてしまうので上手くオフサイドにかけられてしまっていました。 しかも野沢がかなり疲労しておりパスミスが多く、次第に前線に顔を出せなくなって行きましたね。 野沢が低い位置でパスを回すだけになって行くとゴール前にいいタイミングで入っていく選手がいなくなり、鹿島の攻撃もただパスを回すだけになってしまいます。 最後の交代カードも右サイドに増田という微妙なものであまり効果的ではなかったですね。 こーめいはビルドアップが苦手で効果的な縦パスを入れられずに鹿島の攻撃のリズムを削いでいた青木の位置に増田もしくは本田を入れて、機を見て思い切りよくオーバーラップできる青木を右サイドに回すのがいいかと思って観ておりましたが。 試合終盤になるにつれて効果的な攻めが出来なくなり、まんまと守りきられて引き分けに持ち込まれる悔しい結果となってしまいました。 しかし、昨年から今季のACL2戦目までの半ば呆れる程のドロー地獄と比べると、この試合に勝てなかったことに悔しさを感じるのは攻撃の形がよくなっているという根本的な問題に解決の兆しが見え初めているからこそと言えるでしょう。
大事なのはリスクを冒すこと 活動を再開してからは個の力ではなくより組織だった形で攻撃を組み立てる、得点を取るということを試みている鹿島ですが、実際にそれが徐々に試合に出て来てはいます。 ただ、水原三星クラスにあれだけしっかり守られると今の鹿島では崩すのは相当しんどいでしょうね。 確かに監督や選手が言うように水原三星は引き分け狙いで勝ちには来ていませんでしたが、鹿島も勝ち点3を取りに行っていたかというと本当の意味ではそれができていませんでした。 やはり引いた相手を崩すにはどこかでリスクを冒す攻めを見せなければなりません。 それを意識できてないので、どうしても綺麗に崩そうという攻撃になってしまうんですよね。 少しくらい強引でもシュートを打ちに行く、ドリブルで積極的に仕掛けて行く、後ろから長い距離を走って飛び込んで行くということを意識してやっていかなければなりません。 確かに強引に打ったり仕掛けたりしてボールを奪われたらカウンターを受けますし、後ろの選手が上がれば守備が手薄になります。 しかし、相手が脅威に感じることをやっていかなければマークもなかなかズレないですからね。 シュート意識の高い野沢が一番打ちに行っていたのですが終盤は後ろに下がってしまいましたし、ドリブルでの仕掛けは遠藤が縦に行ってエンドラインを割ったところくらいでした。 ミスしてもどんどん仕掛けて行けば、守る側も嫌ですしいつしか隙が生まれるものです。 後ろからの上がりもアレックスが高い位置を取っていたくらいで、もっと長い距離を走ったオフザボールの動き、飛び出しが欲しかったところです。 鹿島は負けるよりは勝ち点1を手堅く取って行くというスタイルですし、もちろん状況次第ではそういうことも重要ですが、こういう試合を本当に勝ちきりたいならリスクを冒すことを覚えなければなりません。 ただ、理想を言えば相手に守りに入られないような試合展開に持って行くのが一番ですけどね。 去年と違って再開後のような攻撃の形がこれから熟成して行けば、そういう試合展開も増えていくとは思います。 まだ十分グループリーグ突破の可能性はありますし、残りのホームでの2試合で勝ち点3を取りきりたいですね。 ただ気になるのはこの試合の動き、そしてケガ人が多いところから考えても今はちょっと選手たちに疲労が溜まっているのかなと感じます。 カルロン、大迫、田代とFW陣にケガ人が多いので心配です。 カシマスタジアムで試合をできないのでなかなかホームで落ち着いて休むというわけにもいかないかもしれませんが、しっかりケアしてリーグ再開戦に臨んでほしいと思います。
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【ACL第3節】鹿島らしさ復活中…のシドニーFC戦 |
【結果】 4月13日(水) AFCチャンピオンズリーグ2011 シドニ0-3鹿島(19:00/シドニー/7,320人) [得点者] 41' 野沢拓也(鹿島) 51' フェリペ ガブリエル(鹿島)←野沢拓也 90'+2 興梠慎三(鹿島)←野沢拓也 [フォーメーション] FW:興梠、カルロン MF:ガブリエル、野沢 MF:小笠原、青木 DF:アレックス、中田、岩政、イバ GK:曽ケ端
【試合の感想】 ズレと戸惑い 鹿島のフォーメーションはいつもの4-2-2-2でしたが、この試合では大迫に代わってカルロンが初スタメンとなりました。 序盤はシドニーFCも布陣をコンパクトにして当たり負けしないフィジカルの強さを生かして守り、鹿島のサイドバックの裏を狙って攻撃をしようという意図でした。 しかし、水原三星戦で試合勘を取り戻した鹿島は慌てることはなく、相手の狙いにしっかり対応できていました。 カザリンの高さに手を焼くシーンもありましたが、ほとんどの場合は岩政が体を寄せており自由にヘディングさせるということはありませんでしたね。 本来なら鹿島がペースを握って攻勢を仕掛けて行きたいところでしが、この試合では2つのズレと戸惑いが邪魔をします。 やはりまだあまり長い時間を一緒にプレイしていないカルロン、そして前の試合から少しプレイエリアの変わったガブリエルの2人は周囲の選手が合っていない場面が多かったです。 カルロンはボールの受け手としてサイドに流れたり、くさびのボールを受けに下がったりと上手くスペースを突く動きを頻繁にしているのですが、なかなかいいタイミングでボールをもらえなかったり、逆にボールが出て来るのか確信を持って動けていなかったりと反応が遅れるシーンが目立ちました。 ボールの出し手であるガブリエルは昨年に長い時間を固定メンバーで戦っているのですが、ほとんどの場合がタッチライン際でボールを受けていました。 前の試合からより中央よりのゾーン(ペナルティエリアの横幅の範囲)で前を向いてボールを持つシーンが増えて来たのですが、そのため周りの選手、特に興梠などはガブリエルがどのタイミングでどこにボールを出すのか分からず戸惑う部分がありましたね。 このズレと戸惑いから縦パスを入れられないうちにボールを失うことが多く、リズムを掴みきれませんでした。
カルロン効果 しかし、前半も半分を過ぎた頃から次第に選手の動きが合って来ます。 これはカルロンの動き出しの早さと質の高さによるところが大きいです。 守ってはマルキーニョスのように真っ先にプレスをかけに行ってくれるので、それを合図に周りも連動してプレスをかけることができていました。 興梠と大迫の2トップだとプレスの始点が曖昧になることが多く、大宮戦の1失点目もそのちょっとした隙を突かれたものでしたからね。 この試合は中盤で青木が精力的にボール狩りをしており、あまり危険なシーンは作られませんでしたが、それも前線からのプレスがあればこそでした。 また、攻めに関してはカルロンが早いタイミングで相手のスペースを突いて動いてくれるので後ろの選手はパスを出しやすかったです。 そのため、周囲との連携が良くなってからは縦パスが入りだしてボールがいいテンポで回るようになり、鹿島のリズムになっていきましたね。 そして、そのカルロンの動き出しに相手DFがついて行くので、今度はそこに新しいスペースができ、周りの選手がその隙を突いていくという攻撃の流れが生まれました。 シュートまで至ったシーンだけを観ても、小笠原のドリブルシュートではカルロンが右にに流れることでDFがつられて中央に大きなスペースが出来ていましたし、DFを背負いながらくさびのボールを受けた場面ではカルロンがワンタッチでうまく背後のスペースに流して新井場がシュートまで持って行きました。 このリズムなら前半のうちに1点欲しいと思っていたところで、小笠原のサイドチェンジを受けた野沢が変態トラップ。 左に流れながらペナルティエリア内で縦パスを受けた興梠が得意の初速で相手をかわして中央に折り返します。 ガブリエルのシュートはGKにはじかれるものの、詰めていた野沢がボレーで蹴り込み先制して折り返します。
4-2-3-1の課題 後半に入っても鹿島が優位に試合を進めて、51分に高い位置でボールを奪ってからの攻撃で野沢のクロス、ガブリエルのヘディングで追加点を奪います。 シドニーFCの守備は人数が足りておらず、カルロンと興梠を見るのが精一杯、ファーサイドが完全フリーになっていましたね。 ガブリエルはやはりこの距離からのヘディングなら得点を取れる可能性があるということでしょうか。 このブログでは唯一ゴール前に入っていく動きはいいと書いていましたが、中盤でのポジションを中央よりにすることでゴール前にも入っていきやすくなったみたいですね。 ずっとドローが続いていただけにこの2点目を取れるかが重要でしたから、早い時間で奪えたことで試合運びが楽になりました。 しかし、ここから笠にかかって攻めていけないのが鹿島の悪いところでもあります。 それは運動量、攻めの意識が落ちてしまっていること、それにも関わらず選手交代が遅すぎるのが主原因ですね。 また、水原三星戦に続いて本山が投入されてからペースダウンしてしまっており、まだコンディションか試合勘に問題がありそうですね。 足にボールがつかないシーンが目立ちました。 また、この布陣とメンバーでは本山にかかる負担も大きいです。 4-2-3-1になるとガブリエルがサイドに張ることになり、まったく存在感がなくなります。 天皇杯では大迫の左サイドからの仕掛けはすごく効果的でしたし、右サイドに遠藤を入れるという選択肢も含めて前線の4人の中で起点になれる選手がもう1人欲しいですね。 ここは鹿島のオプションである4-2-3-1の課題でしょう。
興梠の初速 試合後の選手のコメントにも多く見られたように後半はもっと得点を取れる展開でしたし、ペースダウンしてしまったことでいらぬ勢いを相手に与えてしまいましたね。 次第にシドニーFCに押し込まれて何とか守りきっていくという試合展開になるのですが、ロスタイムに野沢のスルーパスからDFラインの裏を取った興梠が追加点を奪います。 興梠の初速(1,2歩目の速さ)というのははっきり言ってワールドクラスで、シュート技術の低さを見積もって考えてもJリーグで得点を量産できるレベルです。 先制点も興梠の初速を武器に使った仕掛けからでしたからね。 しかし、その興梠の武器が発揮されるかどうかは中盤のパサーにかかっています。 この試合では野沢もよくバイタルエリアに入って行き、先制点、3点目ともにバイタルエリアから野沢が縦パスを出しているんですよね。 3連覇していた頃は本山、小笠原がこの位置からスルーパスを出していました。 しかし、昨年はガブリエルと野沢がサイドに開くことが多く、前線でタメが作れないために小笠原も前に行けないという状況に陥っていました。 つまり、興梠の初速を生かすにはいかにバイタルエリアで中盤の選手が前を向いてプレイできるかにかかっているわけです。 その部分が改善されつつあるので興梠のゴールシーンも増えて来ると思います。 興梠の初速は分かっていても止められないですから、裏を取られる怖さから対戦相手のDFラインが下がり、そうすればより中盤でボールを回しやすくなります。 あとは連戦を無理して使わずに休ませながら起用しっていくことも重要でしょうね。
鹿島らしさ復活中 オフェンシブハーフの2人が中央寄りにポジションすることでようやく鹿島の4-2-2-2も幾分機能し始めて来ましたね。 シドニーFCはグループHの中では格下というわけではありませんが、清水にアレックスが移籍、出場停止やケガ人もいてチーム状態はよくなかったです。 そのため3点を奪ってクリーンシートで勝利できたという面もありますが、水原三星戦もこの試合も前半25分過ぎからの20分は特に鹿島らしい観ていておもしろい内容でした。 こーめいにとってみれば、ようやく鹿島が失くしていたものが戻って来たという気持ちです。 これからはこの時間をできるだけ長くすることと、そしてなるべく多くの選手を起用して誰が出ても同じクオリティの試合をできるようにしなければなりませんね。 明日は国立で水原三星戦です。 残念ながら6月までカシマスタジアムは使えませんが、こーめいのように都内に住むサポーターはアクセスしやすいというメリットもあります。 明日は平日のデーゲーム開催なので観客席が限られてはいますが、横浜FM戦はすでに二万枚のチケットが売れているそうです。 これを機に新しいサポーターを開拓するという気持ちでポジティブに考えて気持ちの入った試合をみせてほしいです。
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【ACL第2節】試合勘と勝ち点1を得る…の水原三星戦 |
【結果】 4月6日(水) AFCチャンピオンズリーグ2011 水原1-1鹿島(19:30/水原/7,689人) [得点者] 67' YEOM KI-HUN(水原) 71' 中田 浩二(鹿島)←岩政大樹 [フォーメーション] FW:大迫、興梠 MF:ガブリエル、野沢 MF:小笠原、青木 DF:アレックス、中田、岩政、イバ GK:曽ケ端
【試合の感想】 試合勘の無さが出た始まり チームが再集合して1週間程だったので鹿島としては予想通り難しい展開になりました。 活動休止中に自主練習をしていた選手はいたものの、やはりチームとしては試合どころか練習すら十分に出来ていなかったので試合勘に問題がありましたね。 味方同士の距離感も離れていてパスが繋がらない状態でしたし、特に相手の寄せに関して戸惑うシーンが多かったです。 球離れが悪くボールを奪われるシーンや逆にボールが持てる余裕の状況でも慌ててパスを出してミスを連発、ピッチの硬さも手伝ってボールの扱いにも苦労していました。 このあたり試合勘の無さが出ていましたね。 そのため、水原三星にペースを握られシュートすら打たせてもらえない時間が続きます。
バイタルエリアを使う意識 しかし、時間が経つにつれて徐々に勘が戻ってくると、この試合初となった野沢の直接ゴールを狙ったFKからのシュートをきっかけにリズムを作り始めます。 25分から鹿島がいくつもチャンスを作るのですが、これはこの試合立ち上がりから見られた1つの戦術的変化がもたらしたものでした。 それはガブリエルのポジションです。 これまでは相手のプレッシャーを嫌ってサイドに張り付いてボールをもらって何もできないでいたのですが、この試合では序盤から中央にポジショニングすることが多かったです。 大迫のポストプレイを含めて練習から相手のバイタルエリアを使う意識を高めていたようですから、オリヴェイラ監督もようやく現在の鹿島の問題に気づいてきたのでしょう。 ガブリエル、野沢のヘッドと繋いでDFの裏へ抜け出した興梠がループシュートを放ち、ガブリエルが中央でドリブルで仕掛けてファウルをもらうなど新鮮なシーンが観られます。 これまではチャンスはあれど攻撃の形が作れていなかったのですが、この試合ではアレックスのループ、野沢のクロスに飛び込んでいく大迫などきちんと攻撃の組み立てができた上でのチャンスもありましたね。 特によかったのはバイタルエリアをきちんと埋めていたので、ロングボールのこぼれ球を拾えるようになったことです。 これまでのロングボールは中央に選手がいなかったので、はじき返されたボールを全部拾われて相手に渡すだけで終わっていたのですが、この試合ではこぼれ球を拾えていたので鹿島がペースを握って攻め込むことができましたね。 ただ、決定力の無さか試合勘の無さなのかフィニッシュにかかる部分でズレやミスが生じてゴールを奪うまでにはいきませんでした。
ゲーム体力の無さが出た後半 後半も立ち上がりはよくこぼれ球を拾って鹿島が押し込んでいたのですが、もう1つの問題が顔を出します。 練習でフィジカルのアップ、紅白戦はしていましたが、やはりきちんとした試合をしていないのでゲーム体力がないんですよね。 これはアウェイで済州に逆転負けしたG大阪、ホームでFCソウルに追いつかれた名古屋も同じだったのですが、後半になってガクっと運動量が落ちます。 鹿島は勝利することで被災した人を少しでも元気づけられればという強い気持ちからG大阪や名古屋程運動量が落ちなかったのですが、やはり時間が進むにつれて動けなくなって来ます。 徐々にリズムが悪くなって来ていたのですが、修正できずにスローインから失点してしまいます。 そこから慌てて選手交代という流れは最近の鹿島の悪い名物となってしまっていますが、本山が入ってすぐにセットプレイから同点に追い付きます。 岩政がヘッドで流してファーサイドに詰めていた中田がきっちりゴールに蹴り込みましたね。
試合勘の無さが出た終盤 天皇杯でもそうであったように本来は本山が入ってここから再び鹿島が盛り返すはずだったのですが、試合勘がないのは途中出場の選手も同じですからね。 4-2-3-1のトップ下に入った本山はバイタルエリアでうまくボールを受けていたのですが、やはり相手の寄せに対しての感覚が掴めていなかったですね。 普段ならスペースにボールを運びながら時間を作って味方の選手の上がりを促したり、相手を引きよせて決定的なスルーパスを出すのですが、明らかに本山のテンポではないタイミングでポンポンと興梠に出していました。 このプレイに関しては本山自身も試合後に反省の弁を述べていますね。 残り10分で出場した遠藤は引き分け狙いの指示もありましたが、こちらも試合勘がなくほとんど何もできませんでした。 最後のカードは増田でしたが時間もなく、結局交代カードでリズムを変えることはできずに終盤は水原三星に押し込まれてしまいます。 しかし、そこは粘り強く守ってアウェイで試合勘と勝ち点1を得ることとなりました。
ラストとフィニッシュの精度 鹿島は最初の3試合がアウェイ、残りの3試合がホームなので引き分けという結果はまったく問題ないですね。 しかもこのようなチーム状況を考えたら負けなかったというのはいい結果と言えます。 この試合でだいぶ勘とコンディションも戻って来るでしょうし、1週間の準備期間があるのでシドニーFCでは確実によくなると思います。 引き続きアウェイなので引き分けでも悪くないですが、小笠原も勝利を切望しているようにシドニーFC戦に勝って日本に戻って来たいですね。 そのためにこの試合のように、引き続き相手のバイタルエリアを使うことを意識しなければいけません。 それができれば試合勘とゲーム体力が戻った分、この試合よりもっと鹿島のペースの時間が増えるはずですから。 そうすれば得点するチャンスも増えます。 ガブリエルもあれくらい中央でプレイできればそれなりの活躍はできそうです。 ただ、パスセンスやフィジカル、ボールキープ、体の使い方などは遠藤より劣りますし、本山の足元にも及ばないので多くは期待しないでおきますけど。 水原三星戦でもこのスルーパスが、このシュートが上手くミート出来ていればというシーンも多かったですからね。 今季はゼロックスから4試合ドローゲーム、元日の天皇杯決勝から見ても得点は大宮戦のオウンゴール以外はすべてセットプレイです。 課題としてはフィニッシュにかかる部分のプレイ精度を上げることですね。 それはシュートだけではなく、その1つ前のパスについてもです。 FWがシュートをはずしたシーンがどうしても記憶に残りますが、イバのセンタリングやガブリエルのスルーパスの精度の低さがチャンスを潰しているシーンも多いですからね。 ラストパスとフィニッシュ、どちらが欠けても得点力に問題が出て来ます。 昨季マルキーニョスがいない鹿島、マルシオ・リシャルデスがいない新潟が勝てなかったのもやはりこの部分の精度に問題がありました。 両クラブともゴール前まではボールを運んでチャンスも作っていたのですが、ラストパスとフィニッシュのどちらかが欠けるとどうしても得点力が落ち、それが結果に出てしまいます。 問題を解決するにはゴール前で落ち着きがありフィニッシュの精度の高いカルロンを早くFWの軸にして、興梠、大迫、田代の中で調子のいい選手を起用するのがいいでしょうね。 日本人選手はトーナメント文化で育っているので日本人2トップで天皇杯優勝を果たした時のように一定の期間で調子、決定力、体のキレを維持するのはできるのですが、1シーズンとなるとなかなか力を発揮しきれません。 だからそこは調子を見極め、休ませながら使っていくことが重要になるでしょう。 都道府県リーグやプリンスリーグに続いて、高円宮杯U-18プレミアリーグとようやくリーグ戦文化が根付いてきているのはいいことですね。 欲を言えば年間30試合は経験させたいところです。 ラストパスの部分ではやはり本山、遠藤を起用する時間を増やしていくことですね。 野沢は技術はありますが、実はスルーパスってほとんど出すシーンはないですからね。 あとはしっかり前線でキープして小笠原を高い位置でプレイさせることができれば、大宮戦のオウンゴールのようなチャンスも作れていきます。 余震やマルキの退団など茨城や鹿島サポにとって辛いこと、悲しいこともありますが、明日のシドニーFC戦は今季初の勝ち点3を獲って1歩ずつ前に進んでいきましょう。
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