【ナビスコ杯2節】先発大幅入れ替えの上に監督力で劣っては厳しい…のFC東京戦 |
【結果】 3月23日(土) 2013 ヤマザキナビスコカップ 鹿島2-4F東京(16:00/カシマ/11,839人) [得点者] 28' 大迫勇也①(鹿島)←ダヴィ① 45'+1 渡邉千真(F東京) 57' ルーカス(F東京) 77' 李忠成(F東京) 78' ダヴィ①(鹿島)←野沢拓也① 81' 東慶悟(F東京) [フォーメーション] FW:大迫、ダヴィ MF:中村、遠藤 MF:梅鉢、本田 DF前野、植田、昌子、西 GK:佐藤 [選手交代] HT:大迫→野沢 68分:梅鉢、中村→柴崎、土居
【試合の感想】 今季最高の内容の45分 FC東京は4-2-3-1のフォーメーション、鳥栖戦から中2日ではあるものの連戦先発となったフィールドプレイヤーはDFラインの徳永、森重、加賀に長谷川、李の5人だけ。 渡邉を1トップに2列目には左からルーカス、河野、李と並んでボランチにはデビュー戦となる野澤が入りました。 鹿島はリーグ戦のメンバーから2トップと西以外の8人を入れ替え、なんとCBには昌子と植田という若い選手が並び、左サイドには中村と前野の移籍組も名を連ねました。 フォーメーションは変わらず4-4-2ですね。 オープニングシュートは鹿島、右サイドで遠藤、大迫と絡んでからダヴィがミドルレンジから狙いました。 鹿島はポゼッションしている時はDFラインやボランチからサイドのスペースを狙う中村、前野にフィードしてチャンスを窺います。 10分には昌子のフィードから前野がスピード感のあるオーバーラップ、徳永の裏を取ってボールを受けると見事なトラップからシュートを放ちます。 これは塩田に阻まれますが、思い切りのいいプレイでしたね。 それで得た遠藤のCKからダヴィがヘッドと立て続けに惜しい場面を作ります。 守備では若い選手が多いのでもっと前からプレスをかけていくかと思いましたが、ブロックを作ってはめ込む守り方でFC東京にボールを持たせる戦いとなりましたね。 FC東京は渡邉が下がったり李が前に出たりとポジションチェンジするのですが、基本的には1トップは2CBで観て、2列目の3人は両サイドバックとダブルボランチ、サイドバックが上がって来たら遠藤、中村の両サイドハーフが観ていました。 そして、ボランチが高い位置を取ると本田か梅鉢のどちらかが前に行くか、2トップの1人が下がってケアする形でした。 特にこの日キャプテンマークを巻いた大迫は前線からの守備も気合いが入っていましたね。 そして、16分には本田がボールを奪ってからの逆襲。 サイドをダヴィがドリブル突破すると、その折り返しに遠藤がゴール前で合わせようとしますがDFに入られてしまいます。 20分には遠藤のFKにルーカスに倒されてファウルをもらった西がヘッドで合わせるもこれは惜しくもゴール左に逸れて行きます。 鹿島はカウンターが非常にスムーズで21分にも梅鉢、大迫、遠藤と繋いで最後は大迫のシュートまで持っていきます。 そして、28分に鹿島に先制点が生まれます。 中盤でパスを受けた遠藤がドリブルでボールを運んで3人を引きつけると大迫にパス。 そこからサイドのダヴィへの展開はDFにカットされるもスライディングですぐさま取り返してこぼれ球をダヴィが拾い再び大迫へ。 角度のないところからでしたが、GKのポジショニングの悪さを観てとると、豪快にニアを抜いて逆サイドのネットに叩きこみました。 ショートカウンターが見事に決まりましたね。 練習試合や紅白戦はしているものの今季公式戦初先発の選手が多い中で攻守に気になるちぐはぐなところはありましたが、前半は完全にペースを握って戦えていました。 特にこのメンバーで強力なのはダブルボランチですよね。 本田、梅鉢ともに守備範囲が広くボール奪取力が高いので、ここをボールの取り所とする守り方をしていました。 また、小笠原、柴崎と違って前線へのパス出しでは劣るものの、守備では勝るのでFC東京の選手がドリブルをしても簡単に振り切られずに、しぶとく食らいついて中央へは入らせないようにしていました。 そして、DFラインに入ってのケアもできるので、これまた守備範囲の広い昌子が思い切って飛び出してカバーリングできていましたね。 39分にはルーカスの振りむきシュートとこの試合初と言える決定機を作られますが、ゴールポストに助けられます。 鹿島もすぐに反撃、中村が高い位置でボールを奪うと左サイドを駆け上がった前野に展開、そこからいいクロスが入りゴール前の大迫は頭にかすめてファーに流そうとしたのですが当たりきらず。 さらに本田のフィードを大迫が胸で落としてからのダヴィのシュートと2点目が入っていてもおかしくない出来だったんですけどね。 いい試合をしていて決定機も作れていて、運もあっただけにロスタイムの失点はもったいなかったです。 FKを一度しっかり跳ね返したもののこぼれ球への詰め、DFラインの押し上げに少し甘さが出ましたね。 徳永のシュートを渡邉が触って角度を変えのたで佐藤も反応できませんでした。 同点での折り返しとなったものの、前半の内容は今季でも一番と言えるものでした。
気になる点は3つ まず試合前から気になっていた2点のうちの1つ目ですが、2トップと後ろの選手の連携はどうなのかということです。 後ろの選手は西以外紅白戦で同じチームでやっているので連携面はある程度はできていると予想できましたが、主力組の2トップとはやってないですからね。 そこを注目して観ていたのですが、昨季も大迫といいコンビネーションを見せていた遠藤は問題ないものの、ボランチと中村、DFラインとは意思疎通が取れてない場面が見受けられました。 そして、2つ目の気になる点でもあるのですが、これまで途中出場で最も多くプレイした中村はリーグ戦で分かるようにまだフィットしていません。 攻撃に絡んだ時はいい形になるのですが、フリーでいてもパスをもらえなかったり逆に中村からのパスに他の選手が反応できなかったり、まだまだという感じでしたね。 最後の3つ目はこの試合の前半を観て感じたことで、後ろの選手からのパスの精度が低いというか慌て過ぎる場面が目につきました。 自分たちのリズムでボールを持っている時はいいのですが、ボールを奪ったあとのファーストパスにミスが出ていたのでそこが気になったところですね。
最大の敗因は監督力の差 前半の内容からすると後半も期待が持てる展開だったのですが、いきなり不安要素がもたらされます。 大迫が前半最後のプレイで負傷して野沢と交代を余儀なくされ、ネガティブな選手交代となった鹿島に対してFC東京は河野に代えて東を投入、ポジティブにカードを切って来ます。 それだけならまだしもFC東京は戦い方も変えて来ましたね。 4-2-4の形で前線は左からルーカス、李、渡邉、東が鹿島のボランチとDFラインの間に並んでダイアゴナルの動きを使いつつ出入りを盛んにして来ます。 逆に言えばこの戦術変更は本田と梅鉢に対するポポヴィッチ監督の最大級の賛辞と言えます。 鹿島のボランチのところでボールを収めることを狙っては勝てないと判断したからこそ、そこをはずしてDFラインと1対1になるように仕掛けて来たわけです。 そのため、前半は本田、梅鉢のところでボール狩りをできていた鹿島のボランチは誰も観る相手がいなくなり、このメンバーの最大の武器を封じられてしまいました。 これによって試合のペースはFC東京に移りましたね。 前半はボールを持たせていた鹿島でしたが、FC東京の戦術変更にボールを持たれる形となってしまいました。 5分にはカウンターから李に抜け出されるも佐藤がファインセーブで救います。 ここで対応していたのは本田だったのですが、1度振り切られたものの追いついてスライディングかけているんですよね。 それでシュートコースを限定したので佐藤も防ぐことができました。 リーグ戦でも自らのセットプレイのカウンターから決定機を作られることが多くなっていますが、こういうところ小笠原や柴崎では振り切られた時点で終わっていますね。 次第に後手に回ってマークもズレ気味、このままでは失点も時間の問題だったのですが、セレーゾ監督はやはり失点するまで動けず。 何とか耐えていたものの12分にルーカスにゴールを割られます。 やはりマークが追いつかなくなって東をケアしきれずにフリーで前を向かれたのですが、ルーカスには西がついていたのでそこでシュートを打たせないように持って行ければよかったのに西にそれを求めるのはね…。 もちろん大迫がいなくなって前線でボールを収める選手がいなくなったことも、ベンチにも若手ばかりを入れていたので交代カードの選択肢がなかったのも大きかったですが、最大の敗因はポポヴィッチ監督の仕掛けに対してセレーゾ監督が無策だったからです。 FC東京は広島や浦和のペトロヴィッチサッカーに近い形をとって来たわけですから、監督が選手交代をして対応させないといけないですね。 何しろリーグ戦のメンバーでもしっかり事前準備をした上で守備的に戦ってやっと引き分けだったくらいですから。 ではどう修正するかというと、1つは4-1-4-1の形で後ろの5人残して前からプレスをかけてボールの出所を潰すやり方です。 ただ、これは事前の準備なしに意思統一して切り替えるのは難しいです。 そこでもう1つは鹿島が主導権を握るようにするってことですね。 前半のようにブロックを作って待ち構えていては後手に回るだけですから、柴崎、山村を入れて後ろからきちんと繋いでポゼッションをしていくやり方ですね。 そうすればルーカスや東も下がって守備に回らざるを得ないですから。 何しろDFラインでボールを奪ってもそれを上手く前線に繋げていなかったですから、パス精度の高い山村を入れて、ボランチに柴崎を置いて預けどころを作れば十分戦えたはずです。 実際に柴崎を入れてからはボール回しも少し落ち着いて、パスを繋ぎながら攻めることはできていたんですよね。 前野のオーバーラップやFKから西のシュートなどチャンスは作れていました。 しかし、選手交代は失点してからだったのでこの判断の遅さが勝負を分けました。 1-1の状態ならもっと落ち着いて試合を運べたのですが、明らかに鹿島の選手は勝つために焦りが出て来ていました。 何しろこの試合で結果を出さないとまた使ってもらえなくなる可能性が高いですから。 本田が中盤でパスをひっかけられるとそのカウンターから李にヘッドで決められました。 ここも前半同様にまずは昌子が飛び出してカバーリング、一度FC東京の攻撃をディレイして他の選手が戻ってくる時間を稼いでいます。 しかし、昌子のポジションにカバーに入ったのが柴崎だったので李に競り合いで負けてしまいましたね。 ここが本田や梅鉢のカバーならもっと守れていたんでしょうけど、人数が揃っていたことで安心してしまった感はありました。 ただ、直後鹿島もすぐに追いあげます。 本田が縦パスを入れて遠藤のところにFC東京選手を食いつかせるとリターンパスをフリーになった西へ。 野沢が上手い駆け引きで太田の裏を取ってセンタリング、最後はダヴィのさすがの個人技でゴールに流し込みました。 さらに柴崎、土居とミドルシュートを放ち同点を狙いますが、やっぱり追いつきたいという焦りがあるわけですよ。 ボールを奪った前野がダヴィに縦パスを入れるのですが、そこで奪われてから東にダメ押し弾を決められてしまいます。 ボールの取られ方が悪かったので後ろの選手も混乱してしまいましたね。 その後も鹿島は最後まで攻める姿勢を見せて、遠藤のクロスに柴崎のボレーなどチャンスを作るもののゴールを奪えず試合終了。 大幅にメンバーを入れ替えてのいちかばちかのナビスコ杯初戦は黒星スタートとなってしまいました。 しかし、これまでと同じように後半は押し込まれましたが、リーグ戦では単純に相手の攻撃意識が上がり鹿島の選手が疲れて来たのが原因だったのに対して、この試合ではポポヴィッチ監督の仕掛けのためで、同じ押し込まれたと言っても違う内容でした。 また、柴崎を投入してからはいい攻撃も出来ていましたし、前半はこれまででもっともいい内容でしたのでそれ程悲観する必要はないですね。 むしろ悲観すべきは言っていることとやっていることの違うセレーゾ監督の采配でしょう。 ベストメンバー規定外の試合とは言え、若い選手は下手に起用して自信を失くさせたらいけないと言っていたのにこれだけメンバーを入れ替えて戦うのは矛盾しています。 だったらリーグ戦から本田、遠藤、昌子、前野などを少しずつ入れ替えながら戦った方がいいです。 それにプロデビューとなった植田が「周りの先輩がフォローしてくれる」って言っていましたが、その先輩方は守備の苦手な西とまだ経験の少ない昌子と梅鉢、今季加入の前野ですからね。 彼らも自分たちの仕事をするので精一杯でしょう。 このメンバーで戦うならせめて監督の采配勝負では相手の上を行ってくれないと厳しいです。
ポジティブな要素とネガティブな要素 負けはしましたが、FC東京の後半の戦い方ならリーグ戦のメンバーでも苦戦は免れなかったでしょうし、守備的な采配をする監督だったら選手を入れ替えることで対応しようとしていたでしょうから、後半も鹿島ペースで戦えて勝っていた可能性も高いですね。 4トップなんて攻撃的な采配をして来るポポヴィッチ監督だったのが不運であり、それに対して有効な手をいち早く打てなかったセレーゾ監督の選手交代の鈍さが敗因でむしろポジティブな要素は多かったと思います。 まず1つ目はJ1でも十分通じる本田と梅鉢のダブルボランチですね。 この2人をボランチに置いてカウンターの精度をもっと高めて行けば、昨年の仙台や横浜FMくらいの成績は十分出せる程だと思います。 もちろんポゼッションサッカーを目指すなら柴崎、小笠原との併用が一番ですが、今季はウィークデイでの試合も多いのでボランチがこれだけ充実しているのはいいことですね。 そして、2つ目は前野のプレイです。 オーバーラップもいいですしクロスの精度も高いです。 守備も西のように気が抜けることはなく必ず自分の裏を狙う選手をケアしていますからね。 1対1のドリブルやビルドアップの部分はもうひとつなところもありますが、起用していってJ1の水に馴染めば十分通じるでしょう。 試合を観て感じたのは思った以上にスピードがあることで、あれは武器になりそうです。 そして3つ目は中村のプレイです。 まだチームに全然フィットはしてないですが、やはりプレイの精度は高いですしセンスがあります。 もっと簡単に預けるようにすれば力を発揮すると思いますね。 少し前の遠藤と同じで味方がパスを出してくれないシーンも目立ちます。 フィジカルの勝負を好まない本山や野沢は動いてスペースでボールをもらおうとするので後ろの選手もパスを出しやすいのですが、遠藤や中村はマークがついていてもそれをはがそうとはしません。 これはどちらが良いとか悪いの問題ではなく、タイプの違いなんですよね。 遠藤や中村はDFに寄せられてもボールをキープできますし、密集地でもボールを持てるので逆に相手を引きつけて最初のタッチでDFをはずすというプレイを好みます。 実際にこの試合でも2人はそういうプレイをやってボールを運んで攻撃を作っていました。 でも後ろの選手は当然遠藤や中村のようなキープをできる選手は少ないですから、そういう選手にとってみればそのタイミングでパスを出したら取られると思って出せないんですよね。 昔の遠藤もそれでボールをもらえなかったのですが、中村にもどんどんパスを出して行けばいいと思います。 こーめいは遠藤と中村が近い距離でプレイできれば、2トップも今季は強力なので相当鹿島は強くなると思います。 そう思ってこの試合を観ていたのですが、残念ながらそういうシーンはまだ多くはないです。 60分に中村が低い位置でボールを受けてFC東京の選手をはずして遠藤に、そこから一度中村に戻してまた遠藤に。 この2人がボールを持つとDFが2、3人は寄せていくので、この3つのパス交換で遠藤が完全にフリーになっていました。 そして、そこからのスルーパスでダヴィがシュートまで行くのですが、これは塩田に抑えられるもダヴィはきちんと股の間を狙っており、当たりどころが違えばそのまま抜けてゴールになっていた非常に惜しいシーンでした。 中村が馴染めばこういうチャンスはもっと増えて行くと思います。 ネガティブな要素としては大黒柱である大迫がケガをしてしまったことですね。 しかも、さらなる不安要素はセレーゾ監督はキャンプからFW不在時は野沢か本山をトップに入れ、それがこれまでまったく機能していないということです。 ジュニーニョは大迫との2トップは合うと思いますが、ダヴィとのコンビは微妙だと思いますし、控えのFWがいない状況は変わらないですからね。 昨季のように4-2-3-1にして2列目を野沢(ジュニーニョ)、中村、遠藤の並びにするのがもっとも機能すると思います。 その方が中央でプレイするのが得意な中村も早く馴染みそうですからね。 あとはダヴィがドゥトラ同様に行けるところまで縦に行ってしまうので、そこを余裕のある段階で切り返して中盤の選手を使ってもう一度ゴール前に行くというプレイが出来るようになれば戦術の幅が広がるでしょう。 セレーゾ監督は外国人の獲得を示唆していますが、どこのポジションなのでしょうね。 FWの選手層がやはり薄いですし、左右両方できるサイドバックがいたら重宝すること間違いなしです。 新潟、神戸、C大阪、柏、甲府の新外国人も良さそうですし他クラブがいい補強をしているので鹿島ももう1人いいブラジル人が欲しいですね。 ただ、この試合では監督の選手起用、采配にいささか不安はあるもののやはり今季はいい補強が出来て選手層も厚くなりつつあるのを感じます。 それにやはり思いきれないより思い切った方がいいので、大胆過ぎはしますが若い選手を起用していくのはいいことですね。 出来ればもう少しバランスや対戦相手を考えてリーグ戦のメンバーと織り交ぜながら戦ってほしいものです。 そうすれば勝ち点はもう少し効率よく伸びて行くと思います。
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テーマ:鹿島アントラーズ - ジャンル:スポーツ
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